世界初の古着の祭典が映す、日本の「古着大国」化
世界初をうたう東京ヴィンテージ・ファッションウィークが新宿で開催。百七ブース、来場者一万八千人超。日本で加速する古着ブームの今を追う。
かつて「新品こそ正義」とされてきた日本の街に、静かな価値観の転換が起きている。いま東京の若者たちが夢中になっているのは、誰かがすでに袖を通した一着だ。二〇二六年三月、その熱気を象徴する催しが新宿で幕を開けた。世界初をうたう「東京ヴィンテージ・ファッションウィーク」である。単なる買い物ではなく、時代の空気そのものが会場に凝縮されていた。
世界初のヴィンテージの祭典
三月十三日から十五日までの三日間、舞台となったのは西新宿の新宿住友ビル三角広場だった。国内外の業者八十三社が一堂に会し、実に百七ものブースがひしめき合う光景は壮観の一言に尽きる。物販にとどまらず、通常の古着と、未来的なアレンジを加えたヴィンテージという二種類のファッションショーも開かれ、訪れた人々の目を大いに楽しませた。
数字が語る熱狂

その盛況ぶりは、数字にもはっきりと表れている。三日間で会場を訪れた人はおよそ一万八千六百二十三人にのぼり、市場全体の売上は約八千七百万円、日本円にしておよそ五十四万六千ドルに達したと主催者は見積もっている。一過性のブームではなく、確かな市場が着実に育ちつつあることを物語る、力強い結果と言えるだろう。
なぜ今、古着なのか
その背景には、いくつもの理由が複雑に重なっている。物価高のなかで賢く装いたいという実利、大量生産と大量廃棄への違和感といった環境意識、そして何より「人と同じ服は着たくない」という個性への強い欲求だ。古着屋はいまや単なる店ではなく、次の流行が生まれるインキュベーターとして、若い世代から熱い支持を集めている。
世界が注目する日本の古着
この熱は、もはや国内だけにとどまらない。近年は円安も追い風となり、日本の良質な古着を求めて来日する外国人観光客が急増している。丁寧に手入れされた日本の中古衣料は、状態の良さと独特のセンスで海外のバイヤーやファンを惹きつけ、「古着大国ニッポン」という新しい顔を世界に強く印象づけつつある。
使い捨てからの卒業
ヴィンテージ人気の高まりは、私たちの服との向き合い方そのものが変わりつつある何よりの証でもある。一着を長く慈しみ、やがて次の誰かへと手渡していく。派手さよりも物語を大切にするこの感覚は、流行の移り変わりの速さに少し疲れた時代のなかで、静かで確かな居場所を見つけているのかもしれない。





